研究概要 |
近年、核に存在するDNA Topoisomerase(Topo-I,II)が抗癌剤の重要な標的酵素であることが明らかとなってきた。1980年代半ばより、Topoに作用する新しい抗癌剤の開発が活発に行われてきた。日本ではTopo-I阻害剤である camptothecin(CPT)の新規誘導体であるCPT-11が開発され、その効果的な併用療法を見出すために以下の実験を施行し、各結果を得た。 1)Topo-I,Topo-II阻害剤と各種サイトカインの併用効果をin vitroで検討した。その結果、Topo-I阻害剤の抗腫瘍効果は、TNFやINF-γの併用により増強された。Topo-II阻害剤でも同様の傾向が得られた。 2)各種培養細胞でTopoの発現とそれらの阻害剤に対する感受性との相関を検討した。その結果、Topo-I,Topo-IIの発現が強いcell lines程、Topo-I,Topo-II阻害剤に対する感受性が高い傾向が認めた。 3)各種婦人科癌細胞株におけるTopo-I mRNA発現量をRT-PCR法による半定量解析で検討し、Topo-I阻害剤に対する各種細胞株の細胞毒性と比較した。その結果、Topo-I mRNAの発現量と細胞毒性は正の相関を示した。そのため、このRT-PCR法はTopo-I阻害剤に感受性を示す臨床症例を選別するために、ごく少量の臨床材料にも応用可能であることが示唆された。
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