研究概要 |
前年度で得られたE_6E_7蛋白を用いて血清中の抗体価測定系を確立する。 (1)融合蛋白を免疫原としてマウスモノクローナル抗体を作製し、E_6E_7蛋白に特異的に反応する抗体を精製する試みをおこなったが、特異的な抗体を得ることが出来なかった。 (2)融合蛋白を用いた血清抗体価測定系をELISA法を用いて試みた。特異性、再現性に優れたAssay系の開発に成功した。この測定系を用いて患者血清中のHPV-DNA16型E_6,E_7蛋白に対する抗体価の測定を施行した。E_6抗体陽性者は健常人で0/38(0%)であったが,子宮頸癌患者では8/30(27%)で,E_7抗体陽性者は健常人で0/38(0%),子宮頸癌患者では10/30(33%)と癌患者に高値を示した。サザンブロット法でHPV DNAを有する患者すべてにHPV-E_6E_7抗体の検出が可能であった。 今回開発した,HPV16E_6E_7の抗体価測定系は特異性、再現性に優れ,充分に臨床応用にたえうると判断された。これにより,HPV-DNA感染の実体が明らかになるものと思われる。
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