研究課題/領域番号 |
04671003
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
光田 信明 大阪大学, 医学部, 助手 (50209805)
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研究分担者 |
下屋 浩一郎 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員 (40291950)
竹村 昌彦 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
上浦 祥司 大阪大学, 医学部, 助手 (10243213)
大橋 一友 大阪大学, 医学部, 助手 (30203897)
佐治 文隆 大阪大学, 医学部, 講師 (90093418)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | サイトカイン / 胎盤 / 絨毛細胞 / ホルモン分泌調節機序 / 周産期感染症 / 母児生体防御能 / 絨毛羊膜炎 / 呼吸窮迫症候群 |
研究概要 |
我々は本研究で胎盤由来のサイトカインの胎盤機能調節機序を検討した。胎盤由来サイトカインの内分泌機能調節機序として、(1)IL-1とTNF-αがIL-6分泌を促進し、そのIL-6が絨毛性ゴナドトロピン(hCG)や胎盤性ラクトーゲン(hPL)産生に関与していること、(2)IL-6は血中のsIL-6-Rとの結合で胎盤内分泌機能を昴進させ、(3)絨毛細胞内チロシンキナーゼを介して細胞内情報伝達経路を活性化していること、(4)TGF-βが負のサイトカイン機能調節因子として作動していること、(5)これらサイトカインによるホルモン分泌系は従来よりのGnRHやEGF依存性分泌機序とは全く独立して作動していることを明らかにした。他方、胎盤由来サイトカインの胎盤免疫能のうち、特に生体防御能についても研究した。IL-1、TNF-α、IL-6、IL-8、MCAFについて検討すると、陣痛の有無でIL-1のみ変動したが、絨毛羊膜炎を合併するといずれのサイトカイン産生も著増した。このことからIL-1とTNF-αは炎症初期の活性化因子として働き、IL-6は胎盤局所での血栓形成、急性期タンパク質の合成、抗原特異体免疫反応の増強に働き、IL-8は好中球を活性化して殺菌能を増強し、MCAFは単球を活性化してIL-8と異なった方法で胎盤の生体防御能を増強している。更に、胎児由来サイトカインによる胎児生体防御能を研究によると、絨毛羊膜炎を合併した胎児は胎内でリンパ球を既に活性化して、芽球化しており、それらリンパ球のサイトカイン産生能は増強していた。これは胎内で胎児が生体防御能を亢進していることを示し、臍帯血中IL-6とIL-8は高値を示した。高IL-6の児にRDS(呼吸窮迫症候群)の発症は低く、高IL-8の児の絨毛羊膜炎は重症を示すことが多かった。以上本研究により胎盤由来サイトカインは、胎盤内分泌機能調節のみならず、子宮内感染時に母児の生体防御能の調節に重要な役割を演じていることが明らかになった。
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