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1994 年度 実績報告書

子宮内膜癌化に関与するアクチンストレスファイバー形成の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 04671008
研究機関九州大学

研究代表者

今村 利朗  九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (10221095)

研究分担者 和気 徳夫  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
キーワード子宮内膜癌 / ヒト1番染色体 / cDNA発現ライブラリー / アクチンストレスファイバー
研究概要

微小核融合法を用いて正常ヒト1番染色体を子宮内膜癌細胞に単一移入することにより造腫瘍性および増殖特性が消失した。さらに同微小核融合細胞では正常ヒト1番染色体を単一移入することにより子宮内膜癌化過程において消失したアクチンストレスファイバーが再び形成され、正常子宮内膜細胞と同様の所見を示した。そこで、正常ヒト1番染色体移入により影響を受ける細胞骨格構成成分を検索し、癌化への関与を検討した。1番染色体移入細胞では細胞内アクチンストレスファイバーの再形成が観察され、アクチン、ビンキュリンが親細胞に比し6〜7倍に過剰集積していた。一方、9番染色体移入細胞では造腫瘍性は消失するが増殖特性は親細胞と同等であった。9番染色体移入細胞では、細胞内アクチンストレスファイバーの再形成はみられなかった。すなわち、アクチンストレスファイバーの再形成は造腫瘍性の消失には必須ではなく細胞増殖特性の変化に関与していると考えられた。アクチン及びビンキュリンをコードする遺伝子は1番染色体上には同定されていないため、1番染色体移入細胞でのアクチン,ビンキュリンの過剰集積は1番染色体移入による遺伝子量の変化の結果とは考えられなかった。β、γ・アクチンのmRNA量も変化していないため、アクチンの集積は蛋白安定性の向上によるものと考えられた。腎癌細胞株RCC23に3番染色体を単一移入した細胞では細胞周期の延長、細胞死が認められ正常ヒト1番染色体を子宮内膜癌細胞へ単一移入した場合と同様の細胞増殖特性の変化が観測された。RCC23へ3番染色体を単一移入した微小核融合クローンでは細胞内アクチンストレスファイバーは再形成されていたが、アクチン、ビンキュリンの量は不変であった。以上の結果から子宮内膜癌抑制遺伝子が存在するヒト1番染色体上には、子宮内膜癌細胞でアクチン及びビンキュリンの細胞内安定性を向上させる遺伝子が存在すると推測された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] N.Wake: "Accumulation of Genetic Events in Endometrial Carsinoma andits Cell Growth Inhibition by Antisense Oligonucleotide Complementary to the Mutated K-ras Gene." Cancer Molecular Biology. 1. 145-156 (1994)

  • [文献書誌] T.Arima: "Genetic origin of malignant trophoblastic neoplasms." Cancer Cenet cytogenet. 73. 5-12 (1994)

  • [文献書誌] S.Miyamoto: "Increased Actin Cable Organization After Single Chromosome Introduction.Association with Supprssion of In Vitro Cell Growth Rather Then Tumorigenic Suppression." Molecular Carcinogenesis,. 10. 88-96 (1994)

  • [文献書誌] T.Gima: "DCC Gene Alteration in Human Endometrial Carcinomas." Int.J.Cancer,. 57. 480-485 (1994)

  • [文献書誌] M.Sasaki: "Evidence for multiple pathways to cellular senescence." Cancer Research. 54. 6090-6093 (1994)

  • [文献書誌] K.Miwa: "The role of p53 inactivation in human cervical cell carcinoma development." British J.Cancer,. (in press).

  • [文献書誌] H,yamada: "Genes,chromosomes and Cancer," Suppression fo Endometrial carcinona cell tumorigenicity by Human chromosome 18.(in press),

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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