研究課題/領域番号 |
04671013
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 昭一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (00045436)
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研究分担者 |
森 庸厚 東京大学, 医学研究所・免疫学研究部, 助教授 (40012760)
山本 弘 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30210553)
藤井 美穂 札幌医科大学, 医学部, 助手
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キーワード | 着床 / 着床促進因子 / トロホブラスト細胞 / リンパ球混合培養 / 正常経産夫婦 / 習慣流産夫婦 / サイトカイン |
研究概要 |
妊娠初期の着床開始時期における初期胚及び母体脱落膜、そしてそこに存在する母体免疫担当細胞を用いて着床のモデルを作製し、三者間の相互作用を解明することを目指して研究をすすめ、次のような結果が得られた。まず、ヒト脱落膜細胞株の培養上清をマウス2細胞期胚の培養系へ添加することにより、hatched blastcystのdishへのattachmentおよびoutgrowthが濃度依存性に増加した。脱落膜細胞培養上清の成分分析により、ラミニン0.34U/mlが検出された。各種細胞外マトリックスの添加実験においても、ラミニン0.1μg/ml及び、1μg/mlの添加により同様のattachmentが再現され、この着床促進因子がラミニンである可能性が示唆された。次にoutgrowthを開始したトロホブラスト細胞上に発現された夫由来の抗原に対する母体免疫応答細胞の作用および習慣流産のメカニズムとの関与について解明するため、夫婦間でのリンパ球混合培養を行いその上清をヒトトロホブラスト細胞培養系に添加し、3H-thymidineのとりこみにより、トロホブラスト増殖効果を検討した。正常経産夫婦間におけるリンパ球混合培養72時間の上清で、194.3%と有意なトロホブラスト細胞増殖効果が認められたが、習慣流産夫婦間でのリンパ球混合培養上清では、105.8%とコントロールとの有意差が認められなかった。そこで、上清中のサイトカイン含有量に着目し、今回、M-CSFの定量を行った。正常群のリンパ球混合培養上清中には154.2IU/mlのM-CSFが検出されたが、習慣流産群では、全例50IU/ml以下と低値であった。培養ヒトトロホブラスト細胞へのrM-CSFの添加実験では、rM-CSF100U/mlの添加により、コントロールの177.9%、250U/mlで216.4%と有意な3H-thymidineのとりみこ増加が認められた。リンパ球混合培養上清添加によるトロホブラスト細胞のDNA合成促進効果は抗fms抗体の添加により39.5%減少した。トロホブラスト細胞に対する母体の適切な免疫応答とそこで産生されるM-CSFが着床において重要な役割を有することが示唆された。
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