研究課題/領域番号 |
04671013
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 昭一 札幌医科大学, 医学部産婦人科学講座, 助教授 (00045436)
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研究分担者 |
山本 弘 札幌医科大学, 産婦人科学講座, 助手 (30210553)
藤井 美穂 札幌医科大学, 産婦人科学講座, 助手
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キーワード | 着床 / トロホブラスト細胞 / リンパ球混合培養 / DNA合成 / beta-hCG / 反復流産夫婦 / Macrophage-colony stimulating factor(M-CSF) / サイトカイン |
研究概要 |
同種抗原認識により産生されるサイトカインの妊娠維持における役割を明らかにするため、正常経産群20組、反復流産群21組を対象とし、夫婦間リンパ球混合培養により産生されるサイトカインのトロホブラスト細胞に対する増殖、beta-hCG分泌作用について検討した。1.培養96時間後のヒトトロホブラスト細胞のDNA合成は正常経産群の夫婦間リンパ球混合培養上清(MLCS)添加により、コントロールの238.2±19.9%と有意に(p<0.0001)増加した。しかし、反復流産群のMLCS、両群の妻単核球単独培養上清(LCS)添加では差は認められなかった。2.培養48時間後のb-hCG分泌は正常経産群のMLCS25%添加により、190.5±8.9%と有意に(p<0.001)増加した。しかし、反復流産群のMLCS及び両群のLCS添加では差は認められなかった。3.MLCS中のサイトカイン濃度を測定するとMacrophage colony stimulating factor(M-CSF)は、正常経産群では全例検出され、その平均は182.0±26.1IU/mlであったのに対し、反復流産群ではすべて検出感度以下であった。IL-2とIL-6の濃度については、両群に有意差は認められなかった。4.培養トロホブラスト細胞へのrecombinant(r)M-CSF100IU/ml,250IU/mlの添加により、そのDNA合成は、コントロールの191.7±15.7%、212.2±8.8%と有意に(p<0.05)増加し、beta-hCG分泌についても144.8±13.9%(p<0.02)、197.4±23.0%(p<0.05)と有意に増加した。以上の結果から、同種抗原認識により産生されるサイトカイン、特にM-CSFがトロホブラスト細胞の増殖、beta-hCG分泌を促進することが示唆された。反復流産群の免疫応答過程にはこのM-CSF産生の欠如が存在し、流産発生に関与している可能性が示唆された。
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