研究概要 |
癌胎児性フィブロネクチンのモノクローナル抗体(FDC-6)を利用した癌胎児性フィブロネクチン測定ELISAキット(PTD check,ADEZA社)を用いて膣分泌液から癌胎児性フィブロネクチンを検出した。11施設において採取した膣分泌液490検体を用いて検討した。本研究での正常妊婦とは年齢20〜39歳までの妊婦で、検査時に切迫早産徴候が認められず、治療を行っていない妊婦とし、切迫早産とは年齢20〜30歳までの妊婦で検査時臨床症状が認められたか、あるいはトコライシスなどの治療を行っており、破水を起こしていない症例とした。 正常妊婦の妊娠6〜22週未満までの癌胎児性フィブロネクチン陽性率は14.7%、22週以上37週未満までの陽性率は4.9%、37週以上での陽性率は19.4%であった。切迫流早産の妊婦6〜22週未満までの陽性率は50%、22週以上37週未満までの陽性率は46.2%となり、いずれの群でも正常妊婦に比較して切迫早産群の癌胎児性フィブロネクチンの陽性率が高いことが認められた。切迫早産群のうち妊娠22週以上37週未満での切迫早産169例中、早産に至った症例は60例あり、その中本法陽性は43例、陰性は17例であり、本法の早産に対する感度は71.7%であった。また、正期産に至った症例は109例あり、その中本法陽性は35例、陰性は74例であり、本法の特異性は67.9%であった。また一致率は69.2%であり、x^2検定で有意差が認められた。以上のことから切迫早産群における早産の可能性や早産に至らない可能性を判断する際、臨床症状に加えて客観的な指標として本法のような生化学的な手段を加えることは、周産期管理上意義が高いと考えられる。
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