研究課題/領域番号 |
04671019
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
太田 博明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70090008)
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研究分担者 |
池田 俊之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80222892)
増沢 利秀 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229369)
牧田 和也 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80219302)
隅田 能雄 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00216475)
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キーワード | Biochemical marker / Sex steroids / Bone mineral density / Menopause / Oophorectomy / Osteoporosis |
研究概要 |
研究対象として年齢因子・体格因子・閉経後ないし卵摘後期間をマッチさせた50〜55歳の閉経後ないし卵摘後平均約3年経過した閉経者33名と閉経前卵摘者37名および同じく年齢因子および体格因子をマッチさせた対照としての未閉経者20名、計90名を用いた。閉経者および卵摘者の性ステロイド動態、骨代謝動態および骨密度の三者の相違の有無を検討した。その結果、estradiolやtestosterone、dehydroepiandrosteroneの低下は両者同じであったが、骨代謝との関係が一部にいわれているestroneとandrostenedioneは卵摘例が閉経例よりも有意(p<0.05)に低値であった。またそれらを反映してか、骨形成能の指標(Alp、osteocalcine)や骨吸収能の指標(urine-calcium/creatinine urine-hydroxyproline/creatinine)およびCa調節ホルモン[mid-portion parathyroid hormone、calcitonin、1,25(OH )_2D]の動態からみた骨代謝動態は卵摘例が閉経例よりも若干負の影響を受けているようであった。しかし、quantitative computed tomographyで求めた第3腰椎の椎体全体の骨密度ばかりでなく、ホルモン変化や代謝性変化などの骨代謝動態を鋭敏に反映し、骨粗鬆症による圧迫骨折の好発部位である海綿骨における骨密度にも両者の差異は見い出せなかった。さらにdual photon absorptiometryで求めた腰椎骨骨密度においても、両者間に有意差を認めなかった。以上から、閉経と卵摘による骨密度減少には差がないと結論され、両者を臨床的に同一に取り扱ってよいということであるが、とりもなおさず自然現象である閉経が女性における骨粗鬆症の最も重要なrisk factorの一つである卵摘とほぼ同じ影響を骨密度に及ぼすことになる。以上の本研結果から、閉経は女性である限り誰もが迎えるので、閉経後の期間が延長し、相当期間あることを考慮すると、女性のquality of lifeの向上のために閉経による骨密度減少に対して対策を講ずることは急務であると考える。
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