研究概要 |
1.閉経及び卵摘による性ステロイド動態の解析:平成4年度の性ステロイド動態の検討結果(閉経及び卵摘によるestradiol値には有意差を認めなかったが,estroneやandrostenedioneは閉経例が卵摘例よりも有意に高値であった)を踏まえ,LH及びFSHの下垂体性gonadotropinについて検討を行った。その結果,estradiolの低下により,LH及びFSHは閉経及び卵摘いずれも著明な高値であったが、両者間には有意な差異は見出し得なかった。 2.閉経及び卵摘による骨代謝動態の解析:従来の骨代謝マーカーでは両者の差異を見出し得なかったので,本年度は骨代謝動態をより鋭敏に反映するとして最近注目されているいくつかの新たな骨代謝マーカーを用いて検討を行った。HPLC法により尿中骨吸収マーカーであるPyridinolineを求めてCrで補正した値は,対照例に比し,閉経例及び卵摘例はいずれも有意に高値を呈したが、両者間には有意差は認められなかった。また,コムギ胚芽レクチンとの共沈で得られた骨形成をより反映する骨由来III型Alpによる新たな検討では、卵摘例及び閉経例はいずれも対照例よりも有意な高値を呈したが、両者には有意な差異は認められなかった。さらに最近開発されたosteocalcin(OC)のN及びC未満に対する2つの抗体を用いたSandwitch ELISA法とN‐fragment OC ELISA法を併用して,intact‐OCとN‐fragment OCを測定した。その結果,骨形成マーカーのintact‐OCも骨吸収マーカーのN‐fragment OCも閉経例と卵摘例の間に有意な差は見出せなかった。 3.閉経及び卵摘による骨密度の解析:本年度はDXA法により閉経例及び卵摘例のL_<2‐4>BMDを測定したが,両者間には有意な差は認められなかった。以上より,本年度新たに検討を行ったホルモン・骨代謝マーカー・DXAによる骨密度においても閉経と卵摘には差異を認めなかった。
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