研究課題/領域番号 |
04671022
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
穂垣 正暢 帝京大学, 医学部, 教授 (60147105)
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研究分担者 |
山越 芳樹 群馬大学, 工学部, 助教授 (10174640)
山本 樹生 帝京大学, 医学部, 講師 (40167721)
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キーワード | パルスドップラー装置 / 多元情報採取 / 低域信号処理 / 胎児心拍測定 / 自己相関 / 最適制御 / Quadrature technique / 心拍測定精度 |
研究概要 |
空間分解能に優れるパルスドップラー装置(YMS RT-3000)から直接5チャンネルの信号抽出を行い、50Hz以下の周波数成分について多元微小変位信号に変換後、インターフェースを介してパソコン(PC9801)に導き新開発のアルゴリズムによる胎児心拍測定を行なう装置を開発し臨床応用した。とくに信号微弱で雑音混入多い妊娠初期から測定可能な新アルゴリズムによる高精度胎児心拍測定技術の開発とその臨床応用をはかった。新手法は1Hz以下の雑音が強勢で5Hz以下の低域の主成分からなり、母体と胎児由来部分が複雑に混合した入力信号を、雑音の理論解析から出発し最適設計したバンドパスフィルターで前処理後、対象例の心拍数に非常に近い正弦波の基準参照信号で変調し連続的に直交位相検波を行なうものである。対象として妊娠6週ー15週の40例を選び、データ長として50秒か10秒を選択して保存し、新システムと在来の自己相関法で算出した心拍数曲線を比較した。新システムは経腟法で妊娠満6週、経腹法で満7週で全例心拍測定可能で、設定時間内の連続かつ高精度の心拍測定に成功した。在来の自己相関法で入力信号の胎児心拍成分が微弱で低域AM雑音のため測定不能な症例でも、新手法では高精度測定が可能であった。しかし雑音成分の増加時、低域信号強勢時には胎児心拍微小変動(Variability)の検出精度が低下した。その結果は胎児信号の雑音分析と測定誤差解析から理論的にも実用的にも新方法が在来の自己相関法より優れていることは確認するものであるが、心拍微分信号の高精度測定には精度が不足である。結論として、従来の自己相関法を上回る性能をもつ新アルゴリズムにより妊娠初期から連続測定可能な胎児心拍計測法を実用化に成功し、この方法で空間分解能と多元変位測定精度が向上し、パルスドプラー信号の雑音分析、妊娠初期から実用可能な胎児心拍数計の基礎となる誤差、追従精度分析など性能評価の基礎技術を確立した。
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