研究概要 |
(目的)今年度は、(1)視性訓練による平衡機能向上の機序を視性訓練効果の獲得モデル家兎を作成し、物質面から検討した。(2)回転訓練によるresponse decline(RD)現象について機能面および物質面から検討した。(方法)(1)視性訓練:(1)視性訓練効果の獲得モデル家兎の作成:装置は前回と同様のドラムを用い、刺激は毎秒20度の等速度刺激(50秒間)を10回連続与えモデル家兎を作成した。(2)訓練効果に影響を与える物質の検討:ketamine,L-glutamateを訓練開始前に投与して訓練効果の獲得による変化を非投与群と比較検討した。(2)回転訓練:(1)刺激方法:回転椅子の中央に家兎を置き、暗所開眼にて毎秒100度の等速度(40秒間)を与えた後、急停止した。同様の刺激を30秒間隔で20回連続して行い、30分明所で放置したのち、再び同様の刺激を5回与え、RD現象の獲得と維持について検討した。(2)判定項目:回転後眼振の1)眼振数、2)最大緩徐相速度、3)時定数、(3)物質の検討:methamphetamine,ketamine,Baclofenを訓練開始前に投与して訓練効果による影響を非投与群と比較検討した。(結果)(1)視性訓練:1)10回連続刺激により長期の訓練効果とほぼ同様の効果を獲得したモデル家兎の作成に成功した。2)ketamine投与群は視性訓練効果の獲得が抑制された。L-glutamate投与群は訓練効果の獲得が促進された。(2)回転訓練:1)methamphetamine投与により、訓練により獲得した時定数の減少が維持される傾向が見られたが、訓練効果の獲得にはより有意な変化は見られなかった。2)ketamine投与により最大緩徐相速度の減少が見られ、Baclofen投与により時定数の減少が見られたが、獲得と維持には非投与群と有意な差は見られなかった。(まとめ)1)NMDA受容体であるketamineは視運動性眼振のdirect pathwayに作用していることが推測された。2)回転訓練では、GABA受容体のagonistであるBaclofenはindirect pathwayに抑制的に作用し、ketamineはdirect pathwayに作用したと考えられる。
|