研究概要 |
上顎洞癌から樹立した3種類の培養細胞(IMC2,IMC3,IMC4)をもちいて上皮成長因子受容体(EGFR)と放射線感受性との関係を検討した。 EGFRは画像解析装置(IBAS2)とフローサイトメトリーを用いて定量した。 ビオチン・ストレプトアビジン法で染色したEGFRの染色濃度は画像解析装置を用いて培養細胞100個をそれぞれ測定した。結果はIMC2>IMC3>IMC4の順にEGFRを多く有し、各培養細胞間の差は有意であった。 フローサイトメトリーを用いて抗EGFRモノクローナル抗体と結合する細胞数を測定した。結果はIMC4>IMC3>IMC2の順に陽性細胞数が多く、各培養細胞間の差は有意であった。以上の結果から、IMC2,IMC3,IMC4の培養細胞において、細胞1個当りのEGFR量はIMC2>IMC3>IMC4の順であり、EGFRを有する細胞数はIMC4>IMC3>IMC2の順であると考えられた。 放射線感受性は培養細胞に放射線を照射しなかった群と、放射線を2、4、6、8Gy照射した群で検討した。各群の細胞は直径5cmのシャーレで培養し、約50個以上の細胞を有するコロニーを計算し、コロニー形成能で放射線感受性を判定した。結果は2GyではIMC4>IMC3>IMC2の順にコロニー形成率が高い、すなわちこの順に放射線感受性が低かった。4Gy以上ではコロニー形成率はIMC3>IMC4>IMC2の順に高く、すなわちIMC2が最も放射線感受性が高い結果となった。 以上の結果より、放射線感受性とEGFRとの関係は、EGFRの定量を画像解析装置を用いた培養細胞1個当りのEGFR量とした時と、フローサイトメトリーを用いたEGFR陽性細胞数とした時との間には異なった結果が得られた。したがって、さらに綿密な研究を要すると思われる。
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