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1994 年度 実績報告書

進行性鼻壊疽の免疫遺伝学的およびウィルス学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 04671046
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

山中 昇  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)

キーワード進行性鼻壊疽 / リンパ増殖性疾患 / T細胞リンパ腫 / Epstein-Barrウイルス
研究概要

今年度は鼻咽腔原発の壊死性病変を有する2例の進行性鼻壊疽症例について以下の検索を行った。
1)悪性リンパ腫に対する国際分類(WF)および本邦のLSG分類による病理組織分類:壊死と炎症細胞浸潤が強く認められたが、その中に大型の異型細胞の増殖が見られ、分裂像も認められた。従来のpolymorphic reticulosisに相当する組織像を呈していた。国際分類では、diffuse,large cell,immuno-blastic polymorphic、LSG分類では、diffuse,pleomorphicに分類された。
2)腫瘍細胞の表面形質の検索:リンパ球系細胞に対する各種単クローン抗体(T細胞サブセット、B細胞サブセット、および活性化細胞)と高感度酵素抗体法を用いた免疫組織染色法により、腫瘍細胞の表面形質を検索した。CD2+,cytoplasmic CD3 ε+,CD3εδor εγ-,CD4-,CD8-,CD450RO+,CD56+であった。B細胞マーカーはいずれも陰性であった。
3)進行性鼻壊疽における免疫遺伝子の再構成の検索:サザーンブロット法による遺伝子再構成の検索により、リンパ球の免疫グロブリンおよびT細胞抗原受容体(TcR)の遺伝子レベルでの解析を行ったところ、T細胞受容体β鎖遺伝子の再構成は認められず、いずれもgerm lineのみであった。
4)Epstein-Barrウイルスとの関連の検討:腫瘍組織中のEBVウイルスDNAの存在をin situ hybridization法により検索するとともにEBウイルス遺伝子のTerminal Repeatに対するプロープを用いたサザーンブロット法を施行したところ、2例ともに単クローン性のEBゲノムが検出された。
以上の成績は、検索した2列の進行性鼻壊疽症例における腫瘍細胞が、平成5年度までに検索した症例と異なり、多くのT細胞マーカーが喪失しており、ナチュラルキラー(NK)細胞抗原(CD56)の発現が認められ、しかT細胞受容体β鎖遺伝子の再構成は認められないことから、末梢性T細胞リンパ種よりNK細胞由来の腫瘍と考えられた。今までの進行性鼻壊疽症例と類似している点は、2例ともに単クローン性のEBVゲノムが検出され、腫瘍発生にEpstein-Barrウイルスが密接に関連していることを示唆した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Harabuchi Y.: "Lethal midline granulama after lymphomatoid papulosis" Cancer. 70. 835-839 (1992)

  • [文献書誌] Yamanaka N: "The prognostic Value of Ki-67 antigen in non-Hodglcin lymphoma of Waldeyer ring and nasal cavity" Cancer. 70. 2342-2349 (1992)

  • [文献書誌] 山中昇: "進行性鼻壊疽の免疫遺伝子解析による診断" 目耳鼻. 95. 1950-1958 (1992)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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