内耳炎と内耳恒常性に関する研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04671047
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 山根 英雄 大阪市立大学, 医学部, 講師 (60145787)
• 研究分担者: 小西 一夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (50145801) ; 高橋 研一 大阪市立大学, 医学部, 講師 (40089959)
• キーワード: 内耳 / 非特異的防御機構 / K-562 / ナチュラルキラー細胞 / フリーラジカル / 音響外傷

研究概要

内耳における非特異的防御機構検討のために今年度は下記の実験を行った。 1.モルモット内耳に人の骨髄性白血病細胞であるK-562細胞を注入、時間経過と共にこれら腫瘍細胞の内耳での動態を検討し、内耳の非特異的防御機構を検討した。腫瘍は24時間経過においても生存し、doubling timeの26時間を過ぎた48時間、67時間を過ぎた群ではその数を増し、内耳膜迷路に固着し、腫瘍塊を形成していた。内耳はこれらの腫瘍細胞の毒素のためか、変性に陥っている例が多かった。3日目頃より、マクロファージの出現が始まるが、その数は少なく、これら時間内での非特異的防御機構はほとんどないものと思われた。1週間経過よりナチュラルキラー細胞の出現が認められたが、これは他臓器に比し、かなりの遅れをもっての出現であり、その間に内耳には壊滅的な状態に陥ってる場合も多く、このことが非化逆的内耳炎の病態と考えられた。
2.音響外傷による内耳感覚細胞の障害は良く知られたところであるが、これらが臨床上遭遇する一過性難聴、耳鳴の原因とは考え難い。そこで内耳にフリーラジカルの出現の可能性があるのか否かを組織レベルで検討したところ、血管条辺縁細胞、およびコルチ器にその存在をみた。すなわち、内耳においてもフリーラジカルが初期内耳病変に関与することが示された。

研究成果

• [文献書誌] 山根 英雄: "内耳の非特異的防御機構" Equilibrium Res.51(2). 281-286 (1992)
• [文献書誌] Yamane H,Nakai Y.Nakagawa T.Konishi K,Iguchi H.Morinaka K.Takayama M,Cho H,Takahashi K: Sendai symposium. 91-92 (1992)
• [文献書誌] 山根 英雄: "中井 義明.鳥山 稔.形浦 昭克.斎藤 等編 今日の耳鼻咽喉科治療指針" 医学書院, 7-8 (1992)
• [文献書誌] 山根 英雄: "西田 祥蔵.中井 義明.毛利 学編 Clinical Nursing Guide 10 眼科 耳鼻咽喉科 口腔外科" メディカ出版, 166-172 (1992)
• [文献書誌] 山根 英雄(西田 祥蔵.中井 義明.毛利 学編): "Clinical Nursing Guide 10 眼科 耳鼻咽喉科 口腔外科" メディカ出版, (1992)
• [文献書誌] 山根 英雄(西田 祥蔵.中井 義明.毛利 学編): "Clinical Nursing Guide 10 眼科 耳鼻咽喉科 口腔外科" メディカ出版, (1992)173-175
• [文献書誌] 山根 英雄(西田 祥蔵.中井 義明.毛利 学編): "Clinical Nursing Guide 10 眼科 耳鼻咽喉科 口腔外科" メディカ出版, 176-179 (1992)
• [文献書誌] 山根 英雄(西田 祥蔵.中井 義明.毛利 学編): "Clinical Nursing Guide 10 眼科 耳鼻咽喉科 口腔外科" メディカ出版, 293-294 (1992)