研究課題/領域番号 |
04671047
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山根 英雄 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (60145787)
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研究分担者 |
小西 一夫 大阪市立大学, 医学部, 講師 (50145801)
高橋 研一 大阪市立大学, 医学部, 講師 (40089959)
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キーワード | Inner ear / tirst detense / tree radical / NK cell / strial blood flow |
研究概要 |
内耳にK-562細胞を注入し内耳の非特異的防御機構を検討した。 1)内耳に注入された腫瘍細胞(K562細胞)は、観察し得たすべての時間経過(注入9日後まで)において外リンパ腔に生存し得た。 2)K562細胞の内耳注入67時間経過した症例では、炎症細胞が外リンパ腔に少数ながら出現し、また7日後では形態的にlarge granular lymphocyteと考えられるリンパ球によるK562細胞の障害像が観察された。このリンパ球はasialoGM^1陽性であること、およびその出現経過より、natural killar(NK)細胞であると考えられた。 3)K562細胞に対する内耳の対処は、外リンパ液中の液性防御因子のみでは弱く、細胞性防御因子が主な役割を果たしていることが判明した。 4)これら細胞性防御因子の由来は内リンパ嚢よりむしろ全身の血管系である可能性が示唆されたが、外リンパ腔へのこれら細胞の動員には他の一般組織と比較して時間がかかることが判明した。 5)K562細胞の内耳への注入7日後には、内耳には積極的な防御機構の出現が観察されたものの、この時期ではすでにコルチ器および血管条の著明な障害像が観察された。 6)血管条の毛細血管内皮細胞周辺部は、初期抗原認識に関与している可能性が示唆された。 7)以上の結果は、病原性微生物侵入に対する内耳の初期防御機構はそれほど強くないことを明らかにしたものであり今後さらなる研究を続ける予定である。
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