研究課題
内耳障害に対する初期防御機構として内耳にも非特異的防御機構があるが、他臓器に比べてその発現は遅く、また、遅れることが証明した。今年度は内耳障害のイニシエーションとしてフリーラジカルの関与を検討した。アミノ配糖体による内耳中毒は臨床上極めて重要な事実であり、内耳有毛細胞障害が主たる病態であるが、その障害原因が不明であり、従って有力な治療法も現存しない。そこで実験動物にカナマイシンをin vivoおよびin vitroで作用させて、内耳障害にフリーラジカルが関与するか否かを検討したところ、dose dependent,time dependentにフリーラジカルが発生していることが証明された。これは今後のアミノ配糖体内耳中毒の予防、治療に大いに還元されるものと思われる。また、内耳のフリーラジカル発生環境を検討したところ、蝸牛血管条にNOの発生に関与するNOSの存在を血管条毛細血管内皮に認めた。このことは、血管条血流の調節が毛細血管内皮レベルで行われていることを示すものであり、一方では絶えずフリーラジカルが発生していることを示唆するものである。
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