研究概要 |
網膜色素変性症の遺伝子異常の解明をCandidate gene approachを用いて行い成果を上げつつある.PCR法とSSCP法により,まずスクリーニングを行い異常のある症例の塩基配列を決定し遺伝子異常を明らかにしている.現在までロドプシン遺伝子異常の2家系(Pro347Leu,Thr17Met)およびRDS遺伝子異常の1家系(Asn244Lys)を見いだしている.これらの臨床像を検討することによりPro347Leuは従来の臨床分類でのType I(Type D),Thr17MetはType II(Type R)であり同じロドプシンの異常でありながら異常の部位により異なる臨床型を示すことを明らかにした.またRDS異常の家系はBull's-eyeを示し特徴的な臨床像を示すことを明らかにした. 網膜色素変性症に対する治療法としてアセタゾラミドを投与している.これは本症における重要な視力低下の原因のひとつである類嚢胞状浮腫に対し投与するもので良好な結果を得ている.また,高気圧酸素療法やプロスタグランジン製剤も試みている. 脳回転状脈絡網膜萎縮症(Gyrate atrophy of the choroid and retina,以下GA)はオルニチンを代謝する酵素のひとつであるOrnithine aminotransferase(以下OAT)の欠損により生ずる遺伝性網脈絡膜変性疾患である.我々はGA患者のOAT遺伝子異常をあきらかにし,日本人患者では他の人種や民族の患者と異なる特異な遺伝子異常であることを明らかにした.これらを基に臨床像の特徴や患者の全国分布の状況を再検討中である. X染色体劣性遺伝眼白子症の臨床像を検討し,日本人患者が特有の臨床像を示すことを明かにし,民族の違いによる臨床像に差の重要性を明らかにした.
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