研究課題/領域番号 |
04671066
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新家 真 東京大学, 医学部(分), 助教授 (00092122)
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研究分担者 |
石井 清 東京大学, 医学部(分), 助手 (50232228)
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キーワード | 血液網膜柵 / Ussing型chamber system / carboxy fluorescein / 術中潅流液 / 酸化型グルタチオン |
研究概要 |
今回我々は、まずin vitroの実験として、Ussing型chamberにおける、carboxyflu orescein拡散を指標としたBSS PlusとS-MA_2の網膜色素上皮に対する影響の検討を行った。 術中潅流液の角膜内皮や血液房水柵に対する報告は既に成されているのに対し、血液網膜柵等の網膜色素上皮機能に対する報告は未だに成されていない。今回の実験は、現在本邦で最も多用されている術中潅流液であるBSS PlusとS-MA_2の、血液網膜柵に対する透過性と網膜色素上皮活性を検討するものである。実験方法は、既に報告した自色家兎の摘出網膜色素上皮のUssing型chamber systemによる方法(日本眼科学会雑誌95;434-440、1991)に準じて行ったが、今回は従来トレーサーとして用いられてきたfluoresceinではなく、より血液網膜柵機能の評価に有用とされるcarboxyfluorescein(CF)をトレーサーに用いた。CF濃度の経時変化から、透過係数P(cm/sec)を算出したところS-MA_2群;P=1.18±0.26×10^<-5>cm/sec (MEAN±SD)、BSS Plus群;P=0.85±0.15×10^<-5>cm/sec(MEAN±SD)と有意にS-MA_2群の方が高値を示した。(P<0.05)一方、網膜色素上皮の細胞活性を示す経上皮電位と短絡電流では両群間に有意差はなかった。このため、BSS Plusの方がS-MA_2に対し侵襲がより少ない術中潅流液と考えられた。両潅流液の成分の最も大きな差異は、酸化型グルタチオン(GSSG)がBSS Plusに含まれている事である。GSSGは角膜保護作用、血液房水柵保護作用があると報告されており、GSSGが血液網膜柵保護作用も有する可能性が示唆された。この結果は、第97回日本眼科学会総会にて発表予定である。 今後は、この結果を踏まえ血液網膜柵に対する術中潅流液の影響をさらに解析するとともに、本研究のもう一つの柱であるin vivoの実験もあわせて行ってゆきたい。
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