研究概要 |
実験緑内障眼における視神経の障害に軸索輸送の障害が関与しているかどうかについて、1)実験緑内障眼での眼圧正常化の際の高速軸索輸送の検討を実験緑内障眼で前房内カニューレ法を用いて検討した。この結果、軸索輸送量は緑内障眼で網膜神経節細胞の減少に一致した減少を示した。また軽度ながら乳頭篩状板での停滞所見を認めた。この結果は残念ながら普通の光学顕微鏡写真ではあまり明らかな所見としては捉えられず、単に軸索輸送料量の減少の所見としてしか評価されなかった。 次に、2)実験緑内障眼での低速軸索輸送障害の解明については、この軸索輸送は乳頭篩状板で正常にくらべ明らかな停滞の所見を示した。さらに乳頭篩状板の後部の視神経内にも所々、散在性の軸索輸送の停滞と考えられる感光銀粒子の集積を観察する事ができた。この結果は、緑内障における視神経障害が急性の眼圧上昇実験の際に報告されている。乳頭篩状板部位にのみ限局するのみでなく、それ以外の部位でも発生している事を明らかにしたものである。このことは緑内障における視神経障害の障害部位が主に乳頭篩状板にあるというこれまでの報告に対して更に、視神経障害が乳頭篩状板以外の部位にも発生しているという新事実を明らかにしたものである。この結果については日本緑内障学会に発表報告した。 とりまとめられない理由, 1)については、以上の事から暗視野顕微鏡を用いて再検討中である。2)については、学会発表の際に、感光銀粒子が十分に黒く現像されていないとの指摘があった。この点について我々も同意し、現在組織切片上に感光乳剤を塗布のうえ冷蔵庫内で感光中である。結果については本年5月から6月にでる予定である。 以上より取りまとめは平成7年8月頃を予定している。
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