視機能の成立には、感覚網膜と網膜色素上皮の両者が主に関係している。感覚網膜の機能は網膜電図(ERG)で検査可能でありその検査方法はほぼ確立している。網膜色素上皮の機能検査は、ヒトでは眼電図(EOG)検査法が広く行われているが、実験動物では一般的には網膜電図c-波の記録によっている。網膜電図c-波では再現性があり安定した記録は困難であり、両方法により得られた波形・振幅が同じであるか否かの詳細な検討は過去には少ない。我々は、実験動物での簡便な眼電図記録法を開発した。 1.眼球の他動的運動がEOG法では必要であり、ロータリーソレノイドを使用することで眼球の円弧運動が得られ、安定したEOG連続記録が可能となった。90回/分以下の眼球運動頻度で安定した長時間の連続記録が可能であった。 2.各種記録パラメータ下での正常EOG値を有色家兎と白色家兎で比較した。 3.DC-増幅器を使用し記録したERG c-波及びfast oscillationと明順応開始直後のEOG振幅の変動の時間経過はほぼ一致した。 4.正常眼で、明順応照度・時間の違いによる、EOG値の比較を行った。 5.動物実験で広く使用されている麻酔剤(UrethaneとNembutal)の影響を検討した。UrethaneではEOG L/D比の軽度の低下、Nembutalでは軽度の上昇を認めた。 6.網膜色素上皮に影響を与えるヨーソ酸ソーダの投与により、EOG light riseは消失し、明順応開始直後のfast oscillationは記録されなくなった。 7.高浸透圧応答:マニトール静注後のEOG振幅低下率は24±9.8%であった。 8.家兎網膜光障害でのEOGの検討は現在続行中である。
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