研究概要 |
本年度の研究成果を平成5年度の研究計画・方法からみていくと、 1 摘出ウシ眼の毛様体筋におよぼすM1,M2,M3の各ムスカリン受容体賦括作用を調べた。Carbachol収縮に対する瞳孔括約筋の反応から、M3受容体が縮瞳に重要な役割を果たしていると考えた。Pirenzepineの効果から、M1受容体はあまり関与していないと考えた。毛様体筋のM3受容体の関与の度合を、瞳孔括約筋や瞳孔散大筋と共に容量作用曲線で調べ発表予定である。 ウシ毛様体筋の収縮力については既に報告したが、電気現象(パッチクランプ)についてはまだ報告がなかった。今回は予算削減のため、パッチをするために必要な器具が購入できなかった。 2 前回の研究に引き続き、摘出ウシ眼の房水流出率に及ぼすmoxisylyte hydrochloride(α_1拮抗薬)の効果を調べた。Moxisylyteは瞳孔括約筋でなく、瞳孔散大筋に作用するので、後方から前方へのベクトルを介さず縮瞳をおこし得る。これはピロカルピン禁忌の症例に応用できた。 3 摘出ウシ眼の毛様体筋におよぼす交感神経作働薬の作用をさらに調べた。 困難が予想されたが、毛様体筋には神経終末にα2交感神経線維が分布していることを明らかにすることが出来た。またこれは毛様体筋の副交感神経による収縮やpilocarpineによる収縮を抑制することもわかった。 4 二次元電気泳動で得られた蛋白分画を生理的環境下と酸素負荷下で比較した。 5 以上の個々の効果を明らかにした後にphosphodiesterase抑制剤などの房水流出率と毛様体筋への作用を比較した。平成4年度3月の研究報告作製以後にiodoacetamideやiodoacetic acidの容量作用曲線を新たに示すことができた。
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