研究概要 |
本研究では、主にビデオマクロスコープを用い、さらにその設営などを工夫してウサギ眼、マウス眼および人眼における眼表面や眼内の細胞動態を生体眼で観察した。 1.ウサギ眼の眼球表面の細胞を生のまま観察した。一方メチレンブルーなどの色素により染色を施しても観察した。その結果,ウサギ眼の角膜上皮細胞の6角形の輪郭および核隆起の像を観察することができた。一方ウサギ眼においては,角膜の生の断面をメチレンブルーにて染色すると束状の膠原線維とケラトサイトが確認できた。一方人工的に作成した網膜剥離面では網膜色素上皮細胞の6角形の細胞の輪郭も観察できた。 2.マウス眼においては,角膜表面より前房を開放することなく虹彩の血管内の血流、主として静脈の血流が観察できた。散瞳や縮瞳による血流の違いも比較することができた。 3.白色ウサギ眼のおいては強膜を研磨することにより毛様体や脈絡膜の血流が直接観察でき観察条件がよければ白血球が同定できることもあった。しかし毛細血管や細動脈の血流は撮影困難であった。 4.人眼では涙液の油層の様々な形態が観察された。また一部では角膜や結膜の上皮細胞の輪郭も確認できた。さらに結膜や上強膜の静脈および毛細血管における血球の移動速度が概ね実測できた。 5.様々な臨床症例において前房内の浮遊細胞の観察および撮影を施行した。温流の速度も各症例で実測できた細胞の種類の同定は困難であったが、細胞の種類により移動速度が異なっていることが判明した。 6.高感度の白黒CCDカメラを用い,トランスイルミネーション法により人眼のマイボ-ム腺を観察した。そのその結果従来のカメラによる撮影法よりはるかに鮮明にマイボ-ム腺を描出できた。
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