研究概要 |
本年度は主として網膜グリア細胞に注目して研究を進めた。家兎網膜より既報の方法でミューラ細胞を培養し、グルタミン酸アゴニストである。NMDA,カイニン酸(KA)、AMPAを種々の濃度で投与し、同細胞内のカルシウム濃度をfura-2を指示薬として画像解析装置を用いて分析した。ミューラ細胞はNMDAには応答せず、KA,AMPAに反応した。これらの応答は、AMPA/KA受容体アンタゴニストであるCNQX存在下および培養液よりカルシウムイオンを除去した状態では、明確に抑制された。またカリウムイオンを50-100mMにすると細胞ないカルイシウムはわずかに上昇し、これはカルシウムイオンチャンネルブロッカーであるニフェジピンの存在下で抑制された。しかしKA,AMPAによる応答はニフェジピンの存在下では影響を受けなかったので、この応答はカルシウムイオンチャンネルを直接刺激した結果でなく、AMPA/KA受容体を介在した反応であることがわかった。さらにこれらの反応が低血糖や予め興奮性アミノ酸を投与された状態ではどのように変化するかを調べた。興奮性アミノ酸であるKAを投与しておくと上記の応答は低濃度でも起こりやすいことが示された。視神経切断を行うと網膜ニューロンの受容体の感度や神経伝達物質の作用状況が変化することが推定されるが、培養網膜ニューロンやミューラ細胞のアミノ酸受容体の存否や感度、またアセチルコリン受容体の存否に関する過去の研究成績について検討が加えられた。このほか視神経疾患における診断と治療に関する最近の知見が検討され、視神経の潜在的再生能や危険因子などについて考察した。
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