研究課題/領域番号 |
04671082
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
若倉 雅登 北里大学, 医学部, 助教授 (50137931)
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研究分担者 |
山本 昇 北里大学, 看護学部, 教授 (10050543)
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キーワード | 網膜 / 視神経 / ニューロン / ミューラ細胞 / グルタミン酸受容体 / AMPA / Kainate受容体 / 神経毒性アミノ酸 / 過酸化水素 |
研究概要 |
家兎網膜よりミューラ細胞を我々により確立した方法で培養し、これに幼若ラットからの網膜を混合培養した。我々はミューラ細胞にAMPA/kainate受容体が存在することを既に明らかにしている、この受容体を介した応答を、fura-2を指示薬としてAMPA投与時の細胞内カルシウムイオン濃度測定によって調べた。まず培養網膜ニューロンとミューラ細胞とで受容体の応答濃度の差に注目した。50uMのAMPAでは100%のニューロンが応答したのに対し、ミューラ細胞は30%に留まり、1uMではニューロンのみが応答した。次に神経毒性を有するカイニン酸(500mM)に暴露した前後の網膜ニューロンとミューラ細胞の挙動を調べた。24時間後ニューロンの大半が消失したのに対しミューラ細胞の形態に異常はなかった。純粋培養ミューラ細胞にカイニン酸を暴露しても形態変化はなく、LDHの上昇も見られなかった。このミューラ細胞とカイニン酸非暴露ミューラ細胞とで、AMPAに対する応答細胞の数を調べたところ、比較的高濃度のAMPAに対して応答する細胞が暴露群で多かった。これらの結果よりミューラ細胞は、神経毒性アミノ酸障害に類似する網膜や視神経障害に際して、その防御にグルタミン酸受容体の存在および発現を介して、積極的に参加している可能性が強く示唆された。次にDEP(有機燐剤)に暴露した時の細胞内過酸化水素の発生の有無を過酸化水素感受性蛍光色素2'、7'-dichlorofluorescein(DCF)を用いて調べたところ10^<-6>の濃度でも発生することがわかり、現在総過酸化物をルミノールを指標とした分析方法で実験を進めている。この場合ミューラ細胞からは過酸化水素の発生がみられないことも、受容体を介在しない侵襲においてもミューラ細胞が抵抗性であることを示したものと考えられた。
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