色素上皮離は老人性円板状黄斑変性症の前段階になる可能性が高い。一方、老人性円板状黄斑変性症の初期病巣では色素上皮剥離を伴う場合がある。しかし、フルオレセイン蛍光造影では脈絡膜新生血管を検出できないことが多かった。筆者は100個の色素上皮剥離のフルオイセイン蛍光造影所見とインドシアニングリーン蛍光造影所見と比較した。 インドシアニングリーン蛍光造影で脈絡膜新生血管が認められた39個の色素上皮剥離のうち、フルオレセイン蛍光造影で脈絡膜新生血管が認められたものは4個にすぎなかった。色素上皮下の脈絡膜新生血管はフルオレセインによる蛍光造影では発見が困難であり、従来は光凝固の適応になる場合が少なく、光凝固成績は不良であった。インドシアニングリーン蛍光造影により脈絡膜新生血管の検出率が上昇すると、レーザー光凝固の適応が増え、本病型を有する患者の視力予後は今後改善するものと考えられる。 また、インドシアニングリーン蛍光造影で脈絡膜新生血管を認める色素上皮剥離では、インドシアニングリーン蛍光造影で後期に色素上皮剥離を示す過蛍光部内に低蛍光部がみられる場合に、脈絡膜新生血管が発生する可能性のあることがわかった。したがってこのような蛍光造影パターンを示す色素上皮剥離には注意深い経過観察が必要であると思われる。
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