研究課題/領域番号 |
04671090
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
雨宮 璋 北海道大学, 歯学部, 教授 (80018415)
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研究分担者 |
藤永 〓 札幌医科大学, 医学部・附属癌研究所, 教授 (10045338)
飯塚 正 北海道大学, 歯学部, 助手 (80168062)
向後 隆男 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80001949)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / ヒトパピローマウイルス(HPV) / PCR / 癌遺伝子 |
研究概要 |
1.口腔扁平上皮癌と発癌の関連を検索する基礎として、正常口腔粘膜におけるヒトパピローマウイルス(HPV)の存在頻度について検討した。北海道大学歯学部附属病院口腔外科を受診した患者のなかで、臨床的に口腔粘膜に異常を認めなかった56例の擦過材料によりDNAを抽出し、ユニバーサルプライマーを用いたPCRで良性型(HPV6.11)、悪性型(HPV16、18、31、33、52b、58)について検索したところ、HPV6型1例、HPV16型1例が検出された。このような結果は正常口腔粘膜でのHPV感染はまれであることを示唆するものであった。 2.77例の口腔扁平上皮癌を対象にPCRとDot blot hybridizationを用いて、HPV DNAの存在について検討した。その結果、HPV DNAは77例中22例(28.6%)に検出され、HPV16型が21例、HPV16.18型混合が1例で、口腔扁平上皮癌ではHPV16型が高頻度に認められることが明らかになった。 3.リンパ節転移を生じた20例について原発巣と転移リンパ節でのHPV DNAの存在について検討した。20例中5例の原発巣でHPV DNAが検出され、これらはHPV16型4例、HPV16・18型1例であり、転移リンパ節でも同一のHPV DNAが検出された。 4.19例の口腔扁平上皮癌新鮮材料からDNAを抽出し、PCRによるHPV DNAの検出とPCR-SSCPによる癌抑制遺伝子p53のmutationの有無について検索を行った。HPV DNAは19例中8例に検出され、p53は19例中5例でmutationが確認された。検出されたHPVは全てが16型であり、p53はexon5(1例)、exon7(2例)、exon8(2例)でmutationを生じていた。このうち2例はHPV.DNAとp53のmutationが同時に確認され、口腔扁平上皮癌の発生原因の多様性と関連するものと思われた。
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