前年度に確立した活性測定系を用い、今年度は、Micrococcus luteus変異株MTのPacket形成を阻止する活性を有する物質を、野性株IFO3333の培養上清から精製することを試みた。 1.M.luteus IFO3333の培養上清を限外濃縮し、活性が存在することを確認した。 2.濃縮液をイオン交換カラムにかけた。Q-SepharoseFFカラム(2.2×31cm)を5mM酢酸アンモニウム緩衝液pH6.0で平衡化し、濃縮液を加え、食塩濃度0〜1.0Mの濃度勾配の同緩衝液を流した。活性蛋白質は、食塩濃度0.38M付近で溶出された。 3.活性画分を濃縮したゲル濾過カラムにかけた。Sephacryl S-200 HRカラム(1.5×169cm)を50mM酢酸アンモニウム緩衝液pH6.0で平衡化し、試料を加え、同緩衝液を流した。活性蛋白質は、排除体積付近に溶出された。 4.得られた最終標品をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけると、4〜20%ゲルではバンドは検出されず2〜15%ゲルで一本のバンドが見られた。SDS存在下のゲル(4〜20%)電気泳動では、分子量約20万の位置に一本と3万以下の位置に数本のバンドが見られ、更にメルトカプトエタノール存在下では、分子量約8万以下の位置に数本のバンドが見られた。 5.ほぼ純品に近く精製されたと思われるが、精製方法には改良の余地があり、今後は方法の確立をめざす。 6.活性物質を加えて培養することによりPacket形成が阻止された変異株細胞を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、細胞表面に均一に多数の粒状物質が認められた。活性物質の作用機序については、今後の興味ある研究課題である。
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