研究概要 |
〔目的〕TGF-betaは骨芽細胞により多量に産生されることから骨炎症の局所因子として機能的役割を演じているものと考えられる。今年度の研究において、局所炎症において重要な役割を担う単球特異的走化性因子(JE/MCP-1)の遺伝子発現に関するTGF-betaの作用を骨芽細胞MC3T3-E1を用いて検討した。 〔材料と方法〕(1)遺伝子発現:Northem blot法により調べた。(2)転写活性:Run on assayより求めた。(3)Gel shift assay:抽出した核蛋白質と^<32>PラベルしたAP-1コンセンサス配列を有した合成プローブを用いて、AP-1蛋白質結合能について検討した。(4)c-fos,c-jun antisensr oligonucleotiotideの調製:〔AUG〕に続く18残基に対するantisenseを合成し、使用した。(5)単球走化性活性:48穴multiple chemotactic chamberを用いて測定した。 〔結果〕(1)TGF-betaによるJEMCP-1遺伝子はH-7,staurosporineにより抑制された。(2)これら阻害剤はTGF-betaによるc-jun,c-fosの遺伝子をまた抑制した。(3)c-jun/AP1の特異的阻害剤であるcurcuminはそのc-jun並びにJE/MCP-1遺伝子発現を著明るに抑制し、この抑制作用は転写レベルでも認められた。(4)curcuminは、またTGF-betaによるAP-1のDNA結合能を強く抑制した。(5)TGF-betaによるJE/MCP-1遺伝子発現はc-fos,c-jun antisenseを用い検討したところ両antisense並びにc-jun antisense単独処理でJE遺伝子発現を強く抑制した。 〔考察〕以上の結果より、TGF-betaによるMC3T3-E1細胞のJE/MCP-1遺伝子の発現は、proteim Kinase Cの作用により誘導されるtranscriptional factor AP-1を介して誘導されるものと考えられる。
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