研究概要 |
1.初めに、固定法の良否を比較検討し、電顕レベルでの免疫組織化学での固定法決定の参考とするために、ラット、マウス、モルモットの舌について、以下の5種類の固定法を用いた試料を作製した。 (1).Bouin液 (2).酢酸を抜いたBouin液 (3).4% paraformaldehyde in 0.1M phosphate buffer (4).4% paraformaldehyde in 0.1M cacodylate buffer (5).2% paraformaldehyde & 0.5% glutaraldehyde in 0.1M cacodylate buffer 2.上記(1)〜(5)で固定したラット、マウス、モルモット全ての舌試料について、パラフィン切片を作製し、最初はポリクローナルヒト上皮ケラチン抗体による免疫組織化学染色を施し、染色の良否を検討した。当初計画では、PAP法を予定していたが、予備的な検討の結果、アビジン・ビオチン複合体法(ABC法)の方がより検出感度が良好であることが判明したので、本試験においては、全てABC法を採用した。 結果は、光顕レベルで見る限り、5種類すべての固定法で、ほぼ同程度の免疫染色性が得られた。 3.2と同様の試料において、モノクローナルケラチン抗体(ケラチン8,10,13,14,15,18,19)の免疫組織化学染色を行った。結果の詳細については、現在検討を行っているが、ポリクローナル、モノクローナルのいずれの染色においても、ケラトヒアリン顆粒には陽性の染色性は全く示されないことは、光顕でも明瞭であり、これまで、我々が主張してきたように、皮膚のケラトヒアリン顆粒とは性質が異なることが示唆された。モノクローナル抗体の局在性については、平成5年度に実施する電顕レベルでの免疫組織化学の結果と合わせて検討していく。
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