研究概要 |
ラット、マウス、モルモットの舌背膜上皮について、各種の固定、包埋法を用い、いくつかのケラチン蛋白サブユニット(ポリクローナルケラチン、モノクローナルケラチン8,10,13,14,18,19)の免疫組織化学染色を行い、光学顕微鏡および位相差顕微鏡によって観察した。 その結果、次のようなことが明らかになった。 1.動物種間で若干の差異は認められたものの、それぞれのケラチン抗体について、比較的近似した結果が得られた。 2.ポリクローナル抗体については、広い範囲の舌背粘膜上皮で陽性の免疫反応が認められたが、糸状乳頭部では、反応性が弱い傾向がみられた。 3.モノクローナル抗体については、それぞれの抗体で、反応性の有無と反応部位に近似性が認められるものと、そうでないものとがある。ケラチン8では、糸状乳頭間上皮の浅部中間層に、ごく僅かに抗原性がみられるか、ないしは、殆ど抗原性は無かった。ケラチン10ではほぼ陰性、また、ケラチン13はモルモットの糸状乳頭間表層で僅かに陽性で、他は陰性であった。ケラチン14は、全ての動物で基底層の細胞に陽性反応がみられた。ケラチン18と19に関しては、ラット、モルモットで中間層から表層に免疫陽性反応がみられたが、マウスでは糸状乳頭に反応がみられた。 4.ケラトヒアリン顆粒には、いずれの抗体にも陽性反応はみられなかった。 なお、電顕レベルの各種ケラチンの細胞内局在については、現在、研究を継続している。
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