研究概要 |
申請者は歯周病原性細菌と言われているPorphyromonas(Bacteroides)gingivalisの内毒素リポ多糖(LPS)について、その病原性に関わる構造因子の解明を進めている。 本研究ではLPSの内部コア多糖およびリピドAの構造について検討を行い、以下の成績を得た。 1.コア多糖領域の構造:内部コア多糖に存在する 2-Keto-3-deoxyocto-nate (KDO)-リン酸のリン酸の結合位置については、脱リン酸したLPSを過沃素酸処理した後、メタノリシスおよびO-アセチル化してGLS/MSを行った結果、リン酸基はKDO分子のC7位またはC8位のいずれかに結合することが明らかになった。 2.リピドAの単離精製:P.gingivalisのLPSからはリピドAの分離が不可能とされていたが、LPSを弱酸加水分解し、遊離したリピドAをクロロホルム/メタノール有機溶媒系で抽出後、Sephadex LH20を用いたゲル濾過にて精製標品を得ることに成功した。 なお、本菌LPSからのリピドAの単離報告は初めてである。 3.リピドA領域の構造:精製リピドA画分について脂肪酸分析、GLC/MSを用いたメチル化分析、P-NMR解析およびFAB-MS分析を行った。 リピドAはβ(1→6)glucosamine disaccharide骨格から成り、おそらくリン酸が2分子および脂肪酸が5分子結合していると思われた。 脂肪酸は基本骨格の3,3'位のアミノ基に 3-hydroxy 15-methylhexadecanoicacidが結合し、エステル結合としてはhexadecanoic acid、3-hydroxy13-methyltetradecanoic acidおよび 3-hydroxyhexadecanoic acidが存在することが明らかになった。 現在、さらに詳細な構造解析および生物活性との関連を進めている。
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