研究概要 |
新生家兎長管骨から分離した破骨細胞を未脱灰骨切片上で培養すると、骨吸収期に入った破骨細胞には吸収窩の外形に対応した密在する多数のポドゾームから成る太いバンド状構造が形成された。電子顕微鏡的には、波状縁に隣接して、骨面に対して垂直に走行する線維構造を含んだ封鎖帯として認められた。一方、乳酸・クエン酸混和液で脱灰した骨切片上で同様に分離破骨細胞を培養すると、骨吸収窩は全く形成されなかった。脱灰骨切片上の非骨吸収破骨細胞にもポドゾームから成るバンド状構造が形成されたが、骨吸収期破骨細胞に比べると、ポドゾームの配列は疎で、バンドの幅が狭いものが多かった。電子顕微鏡的には、封鎖帯に類似した電子密度の高い領域が認められたが、骨吸収期破骨細胞上で認めらたような、特徴的な波状縁との位置関係は認められなかった。なお、人工アパタイト上では吸収窩は形成されず、ポドゾームは発現するが少数で、バンド状構造をもつ細胞は少なかった。 破骨細胞膜物質のFRAPによる動態解析では、NBD/PCの側方拡散速度(D)は4.9±1.0×10^9cm^2/sec.photobleaching後の回復率(R)は37.4±4.5%であった。一方、FITC-WGAの(D)はPCより10〜100倍遅く、細胞辺縁部では、2.3±0.8×10^<10>cm^2/sec,(R)は38.1±4.4%,中央部では、3.9±1.2×10^<10>cm^2/sec,34.7±5.8%であった。
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