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1994 年度 実績報告書

口膣細菌の酸素感受性酵素ピルビン酸ギ酸リアーゼとその活性化酵素

研究課題

研究課題/領域番号 04671120
研究機関東北大学

研究代表者

阿部 一彦  東北大学, 歯学部, 助教授 (40151089)

キーワードピルビン酸ギ酸リアーゼ / Streptococcus mutanら / 糖代謝 / ソルビトール / 酸産生 / スクロース / NADH / 歯垢
研究概要

ソルビトールがS.mutansのグルコース代謝を抑制したので,その生化学的機構について検討した.また,ヒト歯垢の糖代謝に対するソルビトールの影響についても検討した.ソルビトールを糖源として培養したS.mutansのグルコース代謝とグルコース・ソルビトール混合溶液の代謝を比較したところ,ソルビトールを加えたときの方が酸産生速度が小さくなった.次に菌体を一次的に酸素に触れさせ,ピルビン酸ギ酸リアーゼ(PFL)を失活させたのちに嫌気条件下において同様の実験を行ったところ,ソルビトールのグルコース代謝に対する抑制効果ははるかに大きくなった.また,10%スクロース・10%ソルビトール混合溶液を洗口させ,歯垢下における酸産生速度(水素イオンの増加速度)を測定したところ,10%スクロースで同様の実験を行ったときの40%以下であった.スクロース錠剤,ソルビトール錠剤を用いた実験でも同様にソルビトールはスクロースからの酸産生を抑制した.S.mutansではソルビトール代謝時に一分子余分なNADHが生ずるため,PFLとそれに引き続く二つの脱水素酵素によるエタノール産生過程で余分なNADHを処理しなければならず,酸産生が滞ると考えられる.また,酸素によりPFLが失活した場合にはこのNADHの酸化過程が機能せず,グルコース代謝がされに大きく抑制されたと考えられた.ある種のアクチノミセスのグルコース代謝もソルビトールによって抑制されることがわかっており,ヒト歯垢中でも同様の機構によりソルビトールは他の糖の代謝を抑制すると考えられる.糖代謝時,歯垢深部は高度に嫌気的に保たれるが,糖欠乏時には歯垢中に酸素の侵入があり,PFLが失活すると推定される.そこで,スクロースとソルビトールを摂取したときには,歯垢は高度に嫌気的になり,ソルビトールにより生ずる余分なNADHを十分に処理しきれずに代謝全体が滞ってしまうと考えられる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 阿部,一彦: "歯垢細菌のスクロースまたはグルコース代謝に対するソルビトールの抑制効果に関する研究" 歯科基礎誌. 36(補). 90- (1994)

  • [文献書誌] P.Zhang: "Acidogenicity of oral throat lozenges arailable in Japan." J.Dent.Res.(印刷中).

  • [文献書誌] K.Abbe: "Sorbitol inhibition on sagar metabolism of plague microorganisms" J.Dent Res.(印刷中).

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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