研究概要 |
ラットの顎下腺からの唾液、蛋白および糖蛋白の分泌における神経伝達物質候補であるSubstance P(SP)と神経性ペプチドのCalcitonin gene-related peptide(CGRP)およびCalcitonin(CT)の役割分担について検討した。結果: (1)SP(0.5μg/kg)の1回静脈内投与による唾液分泌速度は、最初の1分が最も高く、その後急減し、分泌は、3分で停止した。 (2)Rat CGRP(rCGRP),Rat CT(rCT)およびSalmon CT(sCT)は、1,10および100μg/kgの1回静脈内投与でいずれも唾液分泌を惹起しなかった。 (3)rCGRPの0.01,0.1,1.0および10μg/kgの前投与は、SPによる唾液分泌をそれぞれ1.24,1.66,3.38および1.90倍に高めた。さらに、rCGRPの0.1,1.0および10μg/kgの前投与では、SPによる唾液分泌時間を延長させた。 (4)sCTの前投与では、SPによる唾液分泌を1μg/kgで1.55倍に高めたが、10μg/kgで変わらなかった。 (5)rCTの1および10μg/kgの前投与は、SPによる唾液分泌を修飾しなかった。 (6)SP(0.5μg/kg)とCGRP(1μg/kg)の併用投与による唾液分泌の増大は、Spantide(10μ/kg)の前投与で40.1%そして、Human CGRP-(8-37)の前投与で61.4%の抑制がみられた。本成績より、CGRPは、SPによる唾液分泌を増強させ、この作用には主として、NK_1受容体とCGRP受容体が関与していることが示唆された。 現在、(1)この実験系により得られた唾液の蛋白濃度と糖蛋白の電気泳動像の観察と(2)ラット顎下腺からの唾液、蛋白および糖蛋白の分泌における神経伝達物質のNoradrenaline(NA)およびAcetylcholine(ACh)と神経性ペプチドのCGRPおよびCTの役割分担についての研究を行なっている。
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