研究概要 |
ヒト顎下腺cDNAをテンプレート,オリゴdTを両鎖に対するプライマーとしてPCRを行なったところ数種類のcDNAが増幅されたがその中にP-BcDNAが含まれていた。P-BcDNAは約800bpで240bpの全コーディング領域を含む。シウナルペプチドは22残基で57残基のP-Bシーケンスがこれに続く。この塩基配列解析の結果から唾液中に存在する57残基のP-Bは成熟蛋白質でありより大きな蛋白質が細胞外に分泌された後分解を受けたものではないことが解る。ホモロジー検索の結果,P-B以外のヒト高プロリン蛋白質とは高い相同性を示さないので異なる遺伝子ファミリーに属すると考えられる。最も高いホモロジーを示したのはラットのVCSβmRNAである。これはアミノ酸に翻訳すると高プロリン蛋白質となりその繰り返し構造はP-Bのものと類似している。VCSβはラットの顎下腺で発現している。ヒトのDNAで最も高いホモロジーを示したのは気管ムチンであった。P-BcDNA由来フラグメントをブローブとするヒト各種組織のノーザンブロットでは胎盤に5〜8Kbのブロードなバンドが観察された。各種動物ゲノムDNAのEcoRl消化物及びヒトゲノムDNAの種々の制限酵素消化物のサザンハイブリダイゼーションの結果,複数のP-B関連遺伝子が種間を通じて存在する可能性が示唆されたのでヒトゲノムライブラリーをスクリーニングしたところ2種類のクローンが得られた。
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