研究概要 |
レジン系の重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)が広く用いられている。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と異なりBPOは誘導分解しベンゾアートラジカルとフェニルラジカルが発生する。このため動力学的解析研究は難しいが,重要な開始剤であるのでBPO-MMA重合に及ぼす各種抗酸化剤の影響をDSCにより検討した。最も強い重合禁止効果を示したものは次の順であった。 2,6-t-butyl cresol>hydroquinone>eugenol>phenol>alpha-tocopherol. BPO系において,1:1モル比でフェノール誘導体はビタミンAと同様重合が起こらなかった。一方AIBN系では高い濃度で1:3モル比でも一定の誘導期間後対象と同じ初期重合速度で約96%の収率で重合が起こった。このことは両開始系で重合挙動が異なることが分かった。つまり酸化亜鉛ユージノールセメントにレジン材料が直接接触する際BPO系は重合禁止効果を示しAIBN系は一定時間後重合が起こることを示唆している。 また各種ラジカルによる抗酸化効力を調べるため安定フリーラジカル(diphenyl-p-picrylhydrazyl,grabinoxyl)を用いて各種化合物のラジカル捕捉効果を検討した。フェノール誘導体はラジカルを捕捉した。
|