研究概要 |
レジン系歯科材料の重合開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)に代表される種々のパーオキサイドが用いられている。発生するラジカルはメタクリレートモノマーの重合に関与するだけでなく,酸素と早かに反応しダイラジカルを生じさせる。このようにして発生した炭素ラジカルや酸素ラジカルは生体系に種々の障害を惹起させる。抗酸化剤及びその関連化合物の存在下70CでBPO(1.0モル%)によるメタクリレート重合を行い,誘導期間(IP),初期重合速度(IRP)をDSCにより測定した。0.1モル%でIPは次の順序になった。2,6 Di-tert-butyl-4-methylphinol>Eugenol>Phenol>Vitamin E>Vitamin A.BPO(1.0モル%),抗酸化剤(1.0モル%)の系ではビタミンEは6時間の加熱でも重合が起こらなかった。一方アゾビスイソプチロニトリル(AIBN)系でのIPは次の順になった。Vitaminn E>2,6 Di-tert-butyl-4-methylphenol>Eugenol>Phenol.またIRPと添加剤濃度の関係をみると,BPOはアゾビスイソプチロニトリルに比べフェノール濃度の増加はIRPの減少を促進した。フェノール系抗酸化剤はラジカル種によりその相互作用が異なることが分かった。ビタミンEのラジカル捕捉効果は生体防御の観点からも興味深い。 フェノール系抗酸化剤のフリーラジカル(Diphenyl-p-picrylhydrazyl)に及ぼす影響についても検討した。Vitamin E,ユ-ジノールの相互作用はフェノールに比べはるかに大きかった。
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