市販品を用いて辺縁封鎖性の向上を目的に、研磨時期による影響について検討した結果、以下の成果を得た。 1.充填用光硬化型グラスアイオノマー(以下、光硬化型)の窩洞辺縁に対する適合性を考察する目的で、充填用従来型グラスアイオノマー(以下、従来型)と比較しながら、円形窩洞(人歯エナメル質及びテフロン)辺縁部との間に生じる間隙、吸水膨張、人歯に対する接着強さを測定した。光照射直後には、光硬化型、従来型ともにエナメル質窩洞の場合約0.4%の間隙(窩洞直径に対する割合)を生じたが、1日間浸水させることにより有意に減少し、光硬化型の場合には間隙は消滅した。吸水膨張、接着強さが増加することから考えて、これらが間隙の減少に大きく関与しているものと思われた。 2.光硬化型3種、対象として類似品1種、従来型1種、光重合型コンポジットレジン1種を用いて、光照射(硬化)直後に研磨した場合と1日浸水後研磨した場合について、円形窩洞辺縁部と充填物の間に生じた間隙の最大部分の幅径を計測した。光照射(硬化)直後に研磨した場合、すべての材料で人歯窩洞辺縁部との間に間隙を認め、どの修復材についても1日間浸水後に研磨した方が有意(p<0.05)に減少することがわかった。これは、吸水膨張、物性の向上やそれに伴う歯質接着性が大きいことによると想像された。 3.光硬化型1種、その類似の新製品1種、従来型1種を用いて、光照射直後に研磨した場合と1日浸水後に研磨した場合の人歯V級窩洞の全周にわたる間隙を測定した。その結果、いずれの修復材についても光照射直後に研磨した場合に比べて1日浸水後に研磨した方が間隙の発生が少なく、より好ましい臨床結果が得られるのではないか、と考えられた。
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