研究概要 |
JIS規格での硬質プラスチックの衝撃強さの測定に用いる試験片の寸法は10.0【+-。】0.2mmの厚みで、幅10mmとされている。 規格の形態では加熱重合型レンジのように均質になる場合には比較的安定した結果が得られたが、金型に手用器具を使用し充填するようコンポジットレジンでは大きなばらつきが認められた。この原因は試料体積が実際に使用する量に比較してけた違いに大きいため、試料作成時の取り込み、充填不足などで、試料本来の物性とは関係ない部分であると考えられた。また、材料が非常に高価であり試験試料寸法の最小化は急務である。試料を圧縮試験片程度にすることが最終目的であるが、円柱試料では種々の問題があり、厚みを変えた9種類のH字状の試料についてノッチの位置、大きさ、形状について検討を加えた。 高さ10mmの中央に厚さ0.33mmの両刃ダイアモンドディスクで深さ0.5mm,1.0mmのノッチを形成した。試料は専用治具で4mm保持し試験に供した。打撃部はノッチより2mm上方とした。H字試料は空隙部の厚みは1mm,2mmの2種とし、深さは片側0.0,0.5,1,1.5,2mm(試料部幅:5,4,3,2mm)試料面積積を変化させた9種の金型を用いて作成した。 ノッチ深さ0.5mmでは空隙部厚み1mm,2mmとも、深さ0mm、0.5mmではともに衝撃強さを測定できなかった。測定できた試料では空隙部の厚みの違いによる衝撃強さはほとんど差がなかった。しかし、深さが深いほど衝撃強さは小さくなった。ノッチ深さは1mmではすべての試料で衝撃強さを測定できたが空隙深さが片側1mm以上になると急激に強さが減少した。 またJISで行った強度とは多少異なった値が得られるため、歯科用材料には今回の結果をもとにした新しい規格が測定されるべきと考えられる。 接着強さと衝撃強さの関係についても考察を加えてみた。
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