研究課題/領域番号 |
04671202
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
岸本 康男 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50150785)
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研究分担者 |
杉本 太造 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70192127)
石上 友彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70191872)
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キーワード | 下顎枝矢状分割法 / 下顎伸張反射 / onset潜時 / peak潜時 / 振幅 |
研究概要 |
下顎前突症の治療に際して、形態的回復と共に審美性の改善に対する要求も高まりつつある。そのため、最近は口腔外科科、矯正科、補綴科の協力による総合的アプローチにより、顎変形による不正咬合の治療を行うようになってきた。しかし、形態的な顔貌の改善がはかられても、機能的にみての下顎位、下顎機能運動、さらに咀嚼筋筋活動などがいかに回復しているかは明らかでない。本研究は下顎前突症の外科的矯正処置により、顎口腔機能がいかなる状態を示すかを咀嚼筋筋電図より検討し、機能回復に対する補綴的対応について指針を得ることを目的とした。この下顎前突症例の下顎枝矢状分割法の手術では、スプリントでセグメントを規定し、下顎位を設定している。しかし、この外科的矯正手術では、咬筋の付着部が剥離されるので、咬筋の長さが変化することが予想される。さらに、下顎のセグメントは移動後の位置で約6週間にも及び顎間固定を行うため、通常の筋肉の萎縮と類似した咀嚼筋群の萎縮を生じることが推測される。この様に咀嚼筋群に変化が生じることが考えられるが、そのために正常者と下顎前突者の下顎伸張反射に差を生じることになれば機能的にみて対応を考えねばならない。そこで、今年度の研究は下顎伸張反射を用いて、下顎前突者と正常者の咬筋の潜時について観察し、また、この条件下で、手術を行った下顎前突者がこの様な外科的矯正処置前後で咬筋の筋紡錘にどの様な影響を与えるかを比較検討した。その結果より、 1)下顎前突者と正常者はonsetとpeak潜時はほぼ同様の値であった。 2)下顎前突症例の外科手術前・後のonsetとpeak潜時および振幅は術前、術後とも大きな変化がなかった。 このことから、手術により、咬筋の長さに変化が生じていることが考えられるが、咬筋の下顎伸張反射より見ると、患者は新しい下顎位をスムースに獲得し、処理による影響は特に見られず、適応している知見が得られた。
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