研究課題/領域番号 |
04671203
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
川口 豊造 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60064820)
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研究分担者 |
宇佐美 博志 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (00231176)
竹内 一夫 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70201605)
水野 辰哉 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50192357)
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キーワード | 下顎の位置感覚 / 老年無歯顎者 / 加齢 / 知覚能 / ゴシックアーチ |
研究概要 |
下顎の位置感覚、殊に水平的な位置感覚・知覚の加齢による変化の特性を知ることを目的とする。 老年無歯顎者を対象にして、下顎の水平的な位置の規定が可能な装置を用いて、前後的な下顎位の知覚能を精神物理学的手法で定量的に捉えた。併せて、成人有歯顎者を対象にして、歯牙要素を実験的に除去した状態で前後的な下顎位知覚能を検討した。前後方向に0.2mm間隔で7種の下顎位を規定できる装置を製作し、ゴシックアーチから求めた基準位を含む7顎位をとらせて基準位との位置の差異とその方向を回答させ、正解率を前後的な下顎位の知覚能とした。結果の概要を以下に示す。 1.成人有歯顎者では、ゴシックアーチの尖端を基準位とする場合の知覚能は総平均で74.0%、また基準位の前方0.2mmの値が最も低く42.7%で、前方の位置ほど値が高くなり、前方1.2mmでは92.0%を示した。尖端の前方0.6mmの位置を基準位とする場合は総平均で62.3%、また基準位が48.9%で、ここから後方になるほど知覚能が高く、前方位より平均10%高い。50%刺激閾・平均弁別閾は、ともに0.2mmであった。 2.基準位を上下的に4段階(C.O.からの変化量:平均3.7mm)に変化させて実験した結果、下顎位の上下的な要素の影響は小さかった。 3.老年無歯顎者では、基準位がゴシックアーチの尖端の場合の知覚能は平均60.8%、尖端の前方0.6mmの位置を基準的とする場合の知覚能は46.6%で、有歯顎者よりも値が小さく、殊に基準位では低かった。加齢によって、水平的に下顎位の知覚能は影響を受け、低下する。 4.快適閾(気持ち良く感じる位置)が、ゴシックアーチの尖端の前方1.0mmから生じる例を認めた。この位置での顎関節側方向X線写真では、下顎頭は前方に移動している。殊に、高齢な無歯顎患者では、感覚を重視し過ぎると誤って前方位を採る危険性が高いことを意味する。
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