研究概要 |
上顎顎義歯装着による口蓋咽頭閉鎖度を定量的・客観的に評価する目的で、差圧トランスデューサおよび呼吸用アンプを応用し、口蓋咽頭閉鎖不全を有する患者の顎義歯装着前後のBlowingおよびSucking時における口腔内圧の圧変化をパラメータとして分析・評価を試みた。その結果、被験者各個人の顎義歯装着前のBlowingおよびSucking時の最大圧・安定圧・安定圧持続時間・圧減衰時間を基準値とし、最終顎義歯装着後のそれらとを比較することで口蓋咽頭閉鎖度の定量的・客観的な評価が可能であることがわかった。さらにまた、本装置を用いることにより上記分析・評価が診療室のチェアサイドにて容易に行えることもわかった。一方、上顎顎義歯装着前後の音声データに関しては、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータを用いれば容易に診療室にてデータの採取、分析・評価が可能であることがわかった。 さらに、マルチメディア対応のパーソナルコンピュータを用いれば、患者に関する形態の異なる各種データ、すなわち文字データ(ex.カルテ)、画像データ(ex.口腔内写真、X-ray)、音声データ、その他動的データ(ex,顎運動)を同一次元で扱うことが可能であり、さらに、そのコンピュータがグラフィカルユーザーインターフェイスに優れていればそれらデータの取り扱いとそれらのデータベース構築が比較的容易に行えることがわかった。 今後の課題としては、第一に診療室において極力雑音の少ない音声データを採取する方法について検討すること。第二として画像データを診療室において極力鮮明にかつコンパクトに表示できるように検討すること。第三にキーボードによる文字データの入力に対して他の入力方法をも含めて検討を加えること。最終の第四として構築したデータベースを診療室において扱いやすくすること。
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