1.癌細胞核DNA量と免疫化学療法効果との関係:顕微蛍光測光法により癌細胞核DNA量を測定し、得られたDNAヒストグラムをその分散幅とモードの位置からP-I(diploid pattern)、P-II(hyperdiploid pattern)、P-III(narrow aneuploid pattern)、P-IV(wide aneuploid pattern)の4型に分類すると、術前免疫化学療法(CDDP80mg静注、BLM 45mg静注、OK432 5〜7KE筋注)効果の臨床効果からみた有効例はP-I、IIの癌では61.5%(8/13)、P-III、IVの癌では23.0%(3/13)であり免疫化学療法とDNAパターンは密接な関連性を示した(P<0.05)。2.癌組織内コラーゲンの分布と免疫化学療法効果との関係:基底膜の構成成分であるIV、VII型コラーゲンの分布様式を41例について検討し、以下の3群に分類しえた。A群:癌胞巣に連続生の線状反応が認められるもの、B群:線状反応に断裂がみられ、胞巣周囲、胞巣内にCD3陽性Tリンパ球の浸潤が認められるもの、C群:線状反応の断裂、消失が認められるものの胞巣内外にCD3陽性Tリンパ球の浸潤が認められないもの。術前免疫化学療法による各群の下里分類IIb以上の有効例は、A群:71.4%(5/7)、B群:71.4%(10/14)、C群:10.0%(2/20)であった。一方、I、III、V、VI型コラーゲンは癌組織内間質に発現したが、A群:間質コラーゲンの染色程度が強く、CD3陽性Tリンパ球浸潤の程度が弱いもの、B群:Tリンパ球浸潤の浸潤が強く間質コラーゲンの染色程度が弱いもの、C群:間質コラーゲン、Tリンパ球浸潤ともに弱いものの3群に分類すると同様の有効例は、A群:40.0%(2/5)、B群:58.3%(14/24)、C群:8.3%(1/12)であった。
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