研究概要 |
雑種成犬を用いサリンヘスによる脱血量と等量の血液希釈,とニトログリセリンによる低血圧麻酔併用時の循環動態,冠動脈血流,心筋血流の測定を行った。血液希釈は当初脱血量(20ml/g)の1.5倍で行ったが,希釈後血圧の上昇及び心拍出量の増加がみられ,目的とする血圧までの低下に時間ないしニトログリセリン使用量の増大がみられたため変更し脱血量と等量とした。サリンヘスの希釈後,平均動脈圧,心拍出量は希釈前と有意な変化はみられず,心拍数は減少した。冠動脈血流,心筋血流は不変ないし増加傾向を示すものとがみられた。TNGの投与により希釈前値の70%の低血圧麻酔を90分間にわたって行った。その結果心拍出量低血圧60分までは有意な変化を示さず,低血圧90分では減少傾向を示した。心筋血流は〓〓血流は低血圧中有意な変化を示さず,深〓では低血圧90分で減少傾向を示した。肺内水分量水分量低血圧90分を通じ,不変ないし,上昇傾向が認められた。血液ガスではTNGの投与と共にPao_2の有意な低下がみられた。肺循環系では希釈後のPA,PcwP,CVPは希釈前値を保ったがTNGの投与と共に減少した。現在までの結果では等量脱血による血液希釈併用ニトログリセリン低血圧麻酔は約60分までは心筋血流を維持するため安全に行なうことができるものと推索された。それ故現在では低血圧加分時に代用血流剤の追加投与行い,その後の循環動態の変化を研究中である。追加投与量を初回量の1/2にするか,1/3にするかは現在まで結論が出ていない。なお初期にはPGE_1を用いて同様の実験を行ったが,雑種成犬ではPGE_1の投与量が人間の5〜10倍を必要とするため経済的理由により一時中止し,ニトログリセリンに変更した。今後はCa拮抗剤であるペルシピン・シルテイアゼパムを用いて同様の実験を行う予定である。
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