研究概要 |
実験に使用した細胞は、6種のヒト頭頭部由来扁平上皮癌細胞株、すなわちSQ20B,SQ-31,SCC-35,SCC-61,SCC-13,及びSCCKNである。培養液には10%牛胎児血清、1%抗生剤(PSN:GIBCO)及びハイドロコーテゾン(0.4μg/ml)添加のダルペッコMEMを用い、5%炭酸ガス下で37℃培養を行った。細胞播種率はSQ20B,SQ-31,SCC-35,SCC-61,SCC-13,及びSCCKN各々、0.38±0.1,0.085±0.012,0.30±0.05,0.26±0.06,0.39±0.07及び0.26±0.04であった。X線照射には、日立MBR-1520Rを用い、150kVp,0.5mmAl+0.3mmCu,20mA,線量率およそ1.0y/minにて照射を行った。温熱処置は44±0.05℃water bathにて行った.生存率曲線はコロニー法により行った。尚、100Gyを照射したNIH3T3細胞をフラスコ毎総細胞数が7.5×10^4になるようにfeeder細胞として添加した。生存率はmultiplicityによる補正を行い算出した。細胞内GSH量の定量は、還元酵素法により行った。ADFの定量はWastern Blot法により行った。 『結果及び考察』 X線及び44℃に対する生存率曲線より、Doを算出した。X線に対する生存率曲線におけるDoでは、SQ20B,SQ-31,SCC-35,SCC-61,SCC-13,及びSCCKN各々、1.86±0.14,1.34±0.08,1.17±0.09,0.09±0.06,1.72±0.04及び2.04±0.05Gyとなった。44℃に対する生存率曲線のDoでは、SQ20B,SQ-31,SCC-35,SCC-61,SCC-13,及びSCCKN、2.42±1.5,17.4±1.8,16.7±1.0,19.5±0.8,37.2±2.0,及び14.0±0.7分と算定された。これらの値よりX線感受性と温熱感な性には相関がないことがわかった。GSH量及びADF量を測定したな果、どちらとも、X線及び温熱感受性と相関しないことが明かとなった.これらの結果より、還元作用をもつGSH及びADF量はX線ないしは温熱の感受性を反映しないことが明かとなった.
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