研究概要 |
ヨウ素系造影剤を用いたone-shot dual energy subtractionの唾液腺造影への応用を試みるための基礎実験を行った。最大の目的は最適差分画像取得条件を決定するための評価方法を検討することである。検討のためのパラメーターとしてフィルターの種類(CuとSn),フィルターの厚さ(0.1mm〜10mm),管電圧(50kVp〜100kVp)について行い,各々の場合についての濃度比と画像の分離度を求めた。その結果フィルターについてはSnよりもCuの方が濃度比で骨とヨウ素の分離が全ての管電圧で大きく,SnフィルターのK吸収端の効果は得られなかった。またCu,Snともにフィルターはおおむね厚い方が分離は大きくなる傾向となったが,画像のずれや画質の劣化が起こり,Cuでは0.8mm,Suでは0.3mmの分離が最も大きかった。また管電圧においてはCu,Snともに低電圧ほど分離は大きく50kVpで最大の分離を示した。従って本実験系における最適条件はCuフィルター0.8mmを使用した時で管電圧は50kVpであった。この条件で実際にサブトラクションを行い0.5mm〜2.5mmの骨ステップファントームは完全に消去され,ヨウ素含有量に応じた濃度を有する各骨厚上のヨウ素イメージが得られた。以上の基礎実験結果から筆者独自の評価方法を確立した。これは高低両エネルギー画像濃度から得られた濃度特性を基に消去の対象となる骨の濃度比を45゚に設定した時、各骨厚上のヨウ素の濃度比をAiとし,骨の濃度比をAbとすれば1tan^<-1>ΣAi/n-451で表わされる式で分離度(seperation index:SI)としサブトラクションの指標とした。そして実際の差分画像にて確認した。さらにこの評価法で軟組織が加わった場合についても同様に行い,散乱線の影響を受けても50kVp,Cuフィルター0.8mmが最適差分条件であることを画像によって証明した。この時グリッド使用で散乱線を除去することにより著しい分離度の低下が認められ,散乱線が差分に効果的に働くことをつきとめた。
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