研究概要 |
He-Neレーザーが、マウス頭蓋冠由来の骨芽細胞の硬組織形成能を促進することが前年度の実験結果より明らかとなった。しかし、その作用機序については依然として明らかではない。そこで、骨芽細胞が硬組織を形成する際に重要な要素となる細胞内カルシウ濃度の変化についての測定を行った。 〈実験方法〉 材料は前年度と同じ株化骨芽細胞(MC3T3-E1)で、径35mmのplastic dish内に径25mmの滅菌ガラス板を置き、その上に細胞を播種し次の実験に供した。一週間培養後培地を除去し、5mM Fura-2 AMを含むPBS(-)を加えて再び1時間incubateを行った。1時間後、ガラス板を取り出して細胞内カルシウム測定装置(CAF-110,日本分光社製)の培養細胞用キュベットに設置してcontrolとして340nm,380nmの蛍光強度比を5分間測定した後He-Neレーザーを3分間および5分間照射し、その後同様に蛍光強度比を測定した。 〈実験結果及び考察〉 骨芽細胞にHe-Neレーザーを照射した直後の細胞内カルシウムイオン濃度の変化を測定したところ、変化は認められなかった。 細胞内カルシウムイオンは、細胞の機能調節に関する情報を伝達する重要な役を担っているといわれ、種々の刺激に対応してその濃度がかわる。しかし、レーザー照射によりその濃度変化が認められなかったことは当細胞はレーザー光に対するカルシウムチャネルの受容体が存在せず、レーザー光の作用部位は他に存在するのかも知れない。今回は実験回数が少なくその再現性についての確認を行っていないために今後さらなる検討が必要である。
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