まず、骨年齢の評価法であるTW2法について、再現性の高い評価が行なえるように、他の分野の研究者と意見の交換を行ない、評価技術の習得を行なった。次に、本研究に用いる資料を選別した。本研究では東北大学歯学部矯正科所蔵の縦断資料を用いることとし、選択の条件として以下に定めた。すなわち、初診時年齢が女子においては8歳以前、男子においては9歳以前にあり、かつ現在の年齢が18歳を超えていること、手部X線写真、側面頭部X線写真、身長計測値の記録等が比較的そろっているものとした。なお、18歳以後の資料が無かった者については、リコールを行った。その結果、本研究に用いる資料数として女子で50名以上、男子で40名以上を確保することができた。次にこれらの資料の整理を目的として、コンピュータを用いてデータベースの作製を行なった。その後、手部X線写真についてTW2法による骨年齢の評価を行ない、ほぼ完了した。現在骨年齢を日本人標準値と比較して差異が存在するかどうか検討中である。以上の作業に平行して、側面頭部X線規格写真の透写図の作製および顎顔面各部の計測を開始した。現在は初診時についてほぼ終了し、顎顔面形態の把握を行なっている段階である。今後は成長終了時を手部X線写真や身長増加曲線から判断し、透写図の作製と各部の計測を行なって、下顎骨成長量を求める予定である。また、以上の研究とは別に、手部X線写真撮影時にアルミニウム階段を加えて、骨塩定量検査装置“ボナライザー"を用いて計測を行なっている。今後は骨年齢との相関について検討する予定にしている。その際、骨年齢あるいは骨塩量計測値が標準と比べて低い患者に関して、尿中成長ホルモン等の計測も少数ではあるが行なっている。
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