1.測定装置および解析プログラムの改良 平成4年度に購入したセンサ部分の重量は約150グラムであり、このうちドライバは約140グラム、センサ約10グラムの構成であるが、その軽量化は現在のところ費用と時間の点できわめて難しく、本実験の趣旨に沿うことはできなかった。そこで本平成5年度は小型化の計画を中断して本装置による測定可能な周波数域の拡大および周波数分解能の向上に努力し、その能力を約10倍に高めた。これは信号処理専用のコンピュータ7T18A(NEC三栄)の効果的応用によって飛躍的な測定能力アップを可能としたものであるが、現在その測定プログラムを大約完成し、続いてデータ解析プログラムを開発中である。これらが完成すると極めて広い周波数範囲での測定が可能となり、実験動物の歯の測定などの特殊な用途にも対応できるようになるものと思われる。 2.動物実験のための基礎的データ収集 矯正治療中の患者の協力を得て行った一連の実験で、次のような動物実験に利用しうるデータを得た。 (1)上顎犬歯の測定にあたって、隣在歯(上顎第一小臼歯)の近心面コンタクト部分を削除しても測定結果にほとんど影響を及ぼさなかった。この結果から動物実験を行ううえで、隣在歯が測定結果に及ぼす影響を推察することができるようになった。 (2)上顎犬歯に超弾性スプリングを応用して遠心傾斜を試み、この結果から超弾性スプリングは一定の牽引力が持続すること、その作用距離が長くとれることなどの特性を確認し、その利用が動物実験に極めて好都合であることを確認した。
|