不正咬合を数量的に評価する方法のひとつとしてDental Aesthetic Index(DAI)がコンスらによって提唱され、WHOの第2回International Collaborative Study of Oral Health Outcomes(ICS II)の診査項目にも採用された。このためDAIが我が国でも急速に普及すると予想される。そこで我々は同じアジアの一国である韓国と日本の歯列審美感覚を比較検討することを目的として、1991年に韓国釜山の中学生87名、高校生90名および韓国普州の中学生84名、高校生85名の計346名を対象に歯列審美感覚に対するアンケート調査を行った。その結果、日本と韓国間および韓国両地域の学生間に歯列審美感覚に差が認められなかった。本結果とコンスらの調査結果から、韓国、日本、アメリカ合衆国、旧東ドイツ、オーストラリアおよびタイの歯列審美感覚が統計学的に一致しており、DAIが世界の広い地域で有用であることが明らかとなった。 さらに同年、九州地区の15-18歳の日本人高校生409名を対象にしてDAIを用いた不正咬合の実態を評価した。その結果、アメリカ人高校生の歯列咬合状態と比較して日本人高校生の歯列咬合状態が有意に劣っており、矯正治療の必要性が高いことが示された。現在、台湾人青年を対象にした歯列咬合状態の評価を行っており、今後東アジアを中心にした諸国民を対象にしてDAIを用いた不正咬合の実態調査を行う予定である。
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